マクスウェル方程式の第一式を問題と図で理解する|\(\nabla \cdot \mathbf{E}=\rho/\varepsilon_0\) のイメージを具体例で解説
マクスウェル方程式の第一式は「電場の発散」と「電荷密度」の関係を表す式です。この記事では、一様電場、外向きの場、内向きの場、渦状の場、点電荷、帯電球、平行板コンデンサなど、複数の具体例を問題形式で解きながら、第一式のイメージをつかみます。
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マクスウェル方程式の第一式は、次の形で表されます。
この式は、簡単にいうと、
第一式の直感
左辺の \(\nabla \cdot \mathbf{E}\) は、電場 E の発散です。
発散とは、ある点から電場がどれくらい外へ出ているか、または内へ吸い込まれているかを表す量です。
右辺の \(\rho/\varepsilon_0\) は、その場所にある電荷密度を表します。
つまり、電荷がある場所では電場が湧き出したり、吸い込まれたりします。
| 記号 | 読み方 | 意味 |
|---|---|---|
| ∇ | ナブラ | 空間方向の変化を表す微分演算子です。 |
| ・ | ドット、内積 | ここでは ∇ と E の内積を取り、発散を計算する記号です。 |
| E | 電場 | 電荷に力を及ぼすベクトル場です。 |
| \(\nabla \cdot \mathbf{E}\) | 電場の発散 | 電場がその点からどれくらい湧き出しているかを表します。 |
| \(\rho\) | ロー、電荷密度 | 単位体積あたりにどれくらい電荷があるかを表します。 |
| \(\varepsilon_0\) | イプシロンゼロ、真空の誘電率 | 真空中での電場と電荷密度の関係を決める定数です。 |
この記事の読み方
発散は、式だけで見ると分かりにくいですが、いろいろな電場のパターンを見比べると理解しやすくなります。
ここからは、具体的な問題を解きながら「これは湧き出しているのか?」「吸い込んでいるのか?」「ただ流れているだけなのか?」を確認していきます。
右向きに一定の電場 E = (\(E_0\), 0, 0)
次の電場を考えます。
ここで \(E_0\) は定数です。このとき、\(\nabla \cdot \mathbf{E}\) と電荷密度 \(\rho\) を求めます。
図1:すべての場所で同じ向き・同じ強さの一様電場
発散は、
で計算します。
今回、\(E_x\) = \(E_0\)、\(E_y\) = 0、\(E_z\) = 0 なので、
したがって、
第一式より、
なので、
ポイント
電場が存在していても、その場所に電荷があるとは限りません。一様電場は「ただ同じ向きに流れているだけ」で、湧き出しも吸い込みもないため、発散は0です。
原点から広がる電場 \(\mathbf{E}=(ax,ay,az)\)
次の電場を考えます。
ただし a > 0 は定数です。
図2:原点から外向きに広がる電場。湧き出しがあるイメージです。
発散を計算します。
したがって、
第一式 \(\nabla \cdot \mathbf{E}=\rho/\varepsilon_0\) より、
なので、
ポイント
外向きに広がる電場は、発散が正になります。これは、正の電荷密度がある場合のイメージに対応します。
原点へ集まる電場 \(\mathbf{E}=(-ax,-ay,-az)\)
次の電場を考えます。
ただし a > 0 は定数です。
図3:外側から中心へ向かう電場。吸い込みがあるイメージです。
発散は、
したがって、
第一式より、
なので、
ポイント
内向きに集まる電場は、発散が負になります。これは、負の電荷密度がある場合のイメージに対応します。
渦状の電場 \(\mathbf{E}=(-y,x,0)\)
次の電場を考えます。
この電場は、xy平面で原点のまわりを回るような場です。
図4:ぐるぐる回る渦状の場。湧き出しも吸い込みもありません。
発散を計算します。
したがって、
第一式より、
重要ポイント
矢印が動いているように見えても、外へ湧き出していなければ発散は0です。
発散は「広がる・集まる」を見る量であり、「回っているかどうか」は別の量である回転、つまりカールで見ます。
原点に点電荷 q がある場合
原点に点電荷 q があるとき、電場は次のように書けます。
図5:点電荷から放射状に広がる電場。源は原点一点に集中しています。
見た目には電場が外へ広がっているので、どこでも発散があるように見えます。
しかし、原点以外には電荷がありません。
そのため、原点以外では、
となります。
では、電荷 q はどこにあるのでしょうか。
点電荷の場合、電荷は原点一点に集中しています。
このような一点集中の電荷密度は、デルタ関数を使って次のように表します。
したがって、第一式は、分布の意味で、
と考えます。
ポイント
点電荷の電場は、原点以外では発散0です。
ただし、原点には電荷が一点集中しているため、デルタ関数的な発散を持つと考えます。
一様に帯電した球の内部
半径 R の球の内部に、一様な電荷密度 \(\rho_0\) があるとします。
球の内部の電場が、
で与えられるとします。
図6:球の中に電荷が一様に分布し、中心から外向きに電場が広がるイメージです。
成分で書くと、
です。
発散を計算すると、
したがって、第一式
と一致します。
ポイント
点電荷のように一点に集中している場合だけでなく、空間全体に電荷が分布している場合にも、第一式はそのまま使えます。
平行板コンデンサ内の一様電場
理想的な平行板コンデンサの内部では、一様電場ができるとします。
図7:コンデンサ内部には電場がありますが、板の間の空間には電荷がありません。
内部の電場は一様なので、
です。
第一式より、板の間の空間では、
となります。
大事な注意
コンデンサ内部には電場があります。
しかし、内部空間に電荷があるわけではありません。電荷は主に板の表面に存在します。そのため、板の間の一様電場の発散は0になります。
| パターン | 電場のイメージ | 発散 | 電荷密度 |
|---|---|---|---|
| 一様電場 | 同じ向きに流れるだけ | 0 | 0 |
| 外向きに広がる場 | 湧き出しがある | 正 | 正 |
| 内向きに集まる場 | 吸い込みがある | 負 | 負 |
| 渦状の場 | 回っているだけ | 0 | 0 |
| 点電荷 | 一点から放射状に広がる | 原点以外では0 | 原点にデルタ関数的に集中 |
| 一様に帯電した球 | 球の内部全体から湧き出す | 一定の正値 | 一定の正値 |
| コンデンサ内部 | 一様電場 | 0 | 板の間では0 |
小問題1
次の電場の発散を求めなさい。
答え:
小問題2
次の電場の電荷密度 \(\rho\) を求めなさい。
発散は 3 なので、第一式より、
小問題3
次の電場の電荷密度 \(\rho\) を求めなさい。
発散は 0 なので、
この記事のまとめ
- マクスウェル方程式の第一式は、\(\nabla \cdot \mathbf{E}=\rho/\varepsilon_0\) です。
- 左辺の \(\nabla \cdot \mathbf{E}\) は、電場の湧き出しや吸い込みを表します。
- 右辺の \(\rho/\varepsilon_0\) は、その場所にある電荷密度を表します。
- 一様電場では、電場が存在していても発散は0です。
- 外向きに広がる電場では、発散は正になります。
- 内向きに集まる電場では、発散は負になります。
- 渦状の場では、回転しているように見えても発散は0です。
- 点電荷では、原点以外の発散は0で、原点にデルタ関数的な電荷が集中します。
- 一様に帯電した球では、球内部に一定の電荷密度があるため、発散も一定になります。
- コンデンサ内部には電場がありますが、板の間の空間には電荷がないため、発散は0です。
第一式を理解するコツは、単に「電場があるかどうか」を見るのではなく、
理解のコツ
と考えることです。
電場が存在することと、その場所に電荷が存在することは同じではありません。
一様電場やコンデンサ内部のように、電場があっても発散が0になる例を理解すると、マクスウェル方程式の第一式の意味がかなり見えやすくなります。
次に学ぶと理解が深まるテーマ
次は「第二式 \(\nabla \cdot \mathbf{B}=0\)」「電場の回転 \(\nabla \times \mathbf{E}\)」「ヘルムホルツ分解」「ガウスの法則の積分形」を学ぶと、マクスウェル方程式全体の構造がさらに分かりやすくなります。

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