コンサルとは、会社の問題を外部の立場から整理し、原因を分析し、改善案を作り、場合によっては実行まで支援する仕事です。 ただし、外から見ると「資料を作って会議しているだけ」に見えやすい仕事でもあります。
「コンサルはいったい何をしているのか」と聞かれると、かなり分かりにくい仕事です。 工場のように何かを作っているわけでもなく、店舗のように商品を売っているわけでもありません。 パソコンを開いて、会議をして、資料を作っているように見えます。
しかし実際には、会社の中で起きている複雑な問題を整理し、 「何が本当の問題なのか」 「どこを変えるべきなのか」 「どうすれば利益や効率が上がるのか」 を考える役割を持っています。
コンサルの基本的な役割
コンサルの仕事をかなり簡単に言うと、会社の問題を診断することです。
会社には、さまざまな問題があります。
- 売上が伸びない
- 利益が出ない
- 人手不足で現場が回らない
- 新規事業がうまくいかない
- システム導入が進まない
- 部署同士の連携が悪い
- 工場や店舗の効率が悪い
ただし、問題が見えていても、原因が分かっているとは限りません。 たとえば「売上が落ちている」という現象があったとしても、その理由は一つではありません。
- 商品力が落ちているのかもしれない
- 価格が高すぎるのかもしれない
- 営業のやり方が悪いのかもしれない
- 広告が弱いのかもしれない
- 競合が強くなったのかもしれない
- 顧客の好みが変わったのかもしれない
- 社内の意思決定が遅いのかもしれない
コンサルは、こうした複雑な問題を分解しながら、 「本当は何が原因なのか」を探していきます。
売上低下・非効率・人手不足
データ・現場・競合を見る
何を変えるべきか考える
実際に進める
なぜ会社の中の人だけでは難しいのか
経営者や従業員が自分たちだけで考えると、どうしても思考のベクトルが偏ることがあります。
これは、その人たちが無能だからではありません。 むしろ、会社の中に長くいるほど、その会社の常識に慣れてしまうからです。
たとえば、次のような考え方です。
- 昔からこのやり方だから変えにくい
- この部署には強く言いづらい
- 社長が言っていることだから反対しにくい
- 現場が大変だから、これ以上変えられない
- うちの業界ではこれが普通
- 前に失敗したから、もうやらない方がいい
こういう考え方は、内部にいる人にとっては自然です。 しかし、外から見ると「それは本当に必要なのか?」と思えることがあります。
重要なのは、社内の人だけで考えると、会社の中の常識に引っ張られやすいという点です。 コンサルは、その偏りを外部の視点から見直す役割を持っています。
第三者視点が必要になる理由
コンサルの価値の一つは、第三者的に見る視点です。
会社の中にいると、当たり前になっていることがあります。 しかし、外部の人間から見ると、その当たり前が問題の原因になっていることがあります。
たとえば、社内では普通だと思われている業務でも、外から見るとかなり非効率かもしれません。 社内では必要だと思われている会議も、実はほとんど意思決定に役立っていないかもしれません。 長年続けている事業も、実は利益をほとんど生んでいないかもしれません。
コンサルは、そうした社内の前提に対して、 「本当に必要ですか?」 「なぜそれを続けているのですか?」 「数字で見ると効果が出ていませんよね?」 と問い直すことができます。
社内の人では言いにくいことを言う役割もある
コンサルには、社内の人が言いにくいことを外部の立場から言う役割もあります。
たとえば、会社の中の人が次のようなことを言うのは簡単ではありません。
- この部署は非効率です
- この事業は撤退した方がいいです
- この商品は利益が出ていません
- この会議は必要ありません
- 今の人員配置は無駄が多いです
- 経営判断が遅いことが問題です
社内の人間関係があるため、正しいことでも言いにくい場合があります。 特に、上司や役員、長年続いている部署に対して問題を指摘するのは難しいです。
そこで外部のコンサルが、データや他社比較を使って、 「客観的に見ると、ここを変える必要があります」 と伝えるわけです。
つまりコンサルは、単に頭が良いことを言う人ではなく、 社内では言いにくい現実を、外部の立場から整理して伝える役割もあります。
コンサルは具体的に何をしているのか
では、コンサルは日々何をしているのでしょうか。 代表的な仕事は次のようなものです。
1. ヒアリングをする
まず、経営者や社員に話を聞きます。 現場で何が起きているのか、どこに不満があるのか、どこが詰まっているのかを確認します。
このとき、経営者が見ている問題と、現場が感じている問題が違うこともあります。 経営者は「現場の効率が悪い」と思っていても、現場は「そもそも方針が何度も変わるのが問題」と思っているかもしれません。
2. データを集める
次に、売上、利益、コスト、顧客数、商品ごとの成績、部署ごとの人員、作業時間などのデータを集めます。
感覚だけで判断すると間違えることがあります。 そのため、数字を使って実態を確認します。
3. 問題を分解する
集めた情報をもとに、問題を分解します。
たとえば「利益が出ない」という問題なら、 売上が低いのか、原価が高いのか、人件費が高いのか、広告費が高いのか、価格設定が悪いのかを分けて考えます。
問題を大きなまま見ると、何をすればいいか分かりません。 しかし、小さく分解すると、どこに手をつけるべきかが見えてきます。
4. 改善案を作る
原因が見えてきたら、改善案を作ります。
- 価格を見直す
- 利益率の低い商品を減らす
- 営業のターゲットを変える
- 広告の出し方を変える
- 人員配置を見直す
- 業務フローを変える
- システムを導入する
- 不採算事業から撤退する
ただし、改善案は思いつきでは意味がありません。 「それをやると、どれくらい効果が出るのか」 「どれくらいお金がかかるのか」 「どれくらい時間がかかるのか」 「失敗した場合のリスクは何か」 まで考える必要があります。
5. 経営者が判断しやすい資料にする
コンサルといえば、パワーポイントの資料を作っているイメージが強いかもしれません。
たしかに資料作りは多いです。 しかし、それは単に見た目のきれいな資料を作るためではありません。 経営者が判断しやすいように、複雑な情報を整理するためです。
たとえば、A案、B案、C案があるとします。
- A案は効果が大きいが、コストも高い
- B案は効果は中くらいだが、リスクが低い
- C案は短期的には厳しいが、長期的には有利
こうした選択肢を整理し、経営者が決めやすい形にするのもコンサルの仕事です。
6. 実行まで支援する
コンサルは提案して終わりというイメージもありますが、実行まで関わることもあります。
たとえば、新しい業務フローを作ったり、システム導入の進捗を管理したり、社員向けのマニュアルを作ったりします。 また、会議体を作って、誰がいつまでに何をするのかを管理することもあります。
良い提案でも、実行されなければ意味がありません。 そのため、最近では実行支援型のコンサルも増えています。
コンサルは修理業者に近い
コンサルを分かりやすくたとえるなら、会社という機械の修理業者に近いです。
会社の調子が悪いときに、 「どこが悪いのか」 「なぜ悪くなっているのか」 「どの部品を直せばいいのか」 「修理にはどれくらい時間とお金がかかるのか」 を調べるようなものです。
ただし、コンサルが全部を自分で直すわけではありません。 診断して、修理方法を提案し、必要に応じて修理作業の進行を管理するというイメージです。
良いコンサルと悪いコンサルの違い
ただし、すべてのコンサルが優秀なわけではありません。 良いコンサルもいれば、悪いコンサルもいます。
| 良いコンサル | 悪いコンサル |
|---|---|
| 問題の本質を見つける | 表面的なことしか言わない |
| データと現場の両方を見る | 資料上の理屈だけで考える |
| 実行できる改善案を出す | 理想論だけを出す |
| 社内の人が気づかない視点を出す | 誰でも言える一般論を言う |
| 現場の事情も理解しようとする | 現場を見ずに決めつける |
コンサルが必ず正しいわけではありません。 外部の人間だからこそ、現場の細かい事情を理解していないこともあります。 そのため、理想は「社内の現場感覚」と「外部の客観視点」を組み合わせることです。
なぜ高いお金を払うのか
コンサルに高いお金を払う理由はいくつかあります。
まず、会社の中の人だけでは、日々の業務が忙しくて、じっくり分析する時間が取れないことがあります。 現場の仕事をしながら、売上データを分析し、競合を調べ、改善案を作るのは簡単ではありません。
次に、社内の人間関係があるため、客観的な判断がしづらいことがあります。 本当はやめた方がいい事業でも、担当部署や関係者がいると、簡単には言い出せません。
また、大企業では一つの判断で動く金額が大きいです。 数億円、数十億円の投資判断や撤退判断をする場合、外部の分析にお金を払ってでも、判断材料を増やしたいと考えることがあります。
さらに、コンサル会社は他社事例を多く見ています。 「同じような問題で、他社はどう改善したのか」 「この業界ではどんな失敗が多いのか」 「似たような改革で何が問題になりやすいのか」 といった知見を持っている場合があります。
コンサルの本当の価値
コンサルの本当の価値は、単に正解を教えることではありません。
むしろ、会社の中にいる人たちが見落としている前提や、偏った考え方に気づかせることにあります。
会社の中では当たり前だと思っていることでも、外から見るとおかしい場合があります。 逆に、外から見ると非効率に見えても、現場では必要な理由がある場合もあります。
だからこそ、コンサルだけで正解を出すのではなく、 社内の人と一緒に考えることが大切です。
まとめ
コンサルとは何をしているのか
- 会社の問題を整理する
- データや現場の声をもとに原因を分析する
- 改善案を作る
- 経営者が判断しやすい資料にまとめる
- 社内では言いにくいことを外部の立場から伝える
- 必要に応じて実行まで支援する
コンサルは、単に資料を作る人ではありません。 会社の問題を外部の立場から見直し、原因を整理し、どう変えるべきかを考える仕事です。
経営者や従業員が自分たちだけで考えると、どうしても社内の常識や人間関係に引っ張られます。 そのため、第三者的に見る視点が必要になることがあります。
ただし、コンサルが必ず正しいわけではありません。 外部の視点だけでは現場の事情を見落とすこともあります。
だからコンサルは、会社の外から正解を押しつける存在というより、 社内の人が見落としている角度から問題に光を当てる存在だと考えると分かりやすいです。


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